今回は、スズメの生い立ちについて、ほんのチョットだけ触れてみたいと思います。
まずスズメの巣は、山間部であれば木の洞や安全な岩陰の窪みや竹藪などの適当な場所ではないかと思いますが、私は九州の田舎育ちで、50数年も前では、農家の屋根はほとんどが藁葺きだったのでスズメは,家の南向きの軒端にずらりと5~6か所、あるいは10数か所くらい、くちばしで藁を食いちぎって子供の手で肘まであるかそれ以上の深さに、それぞれの巣を作ります。巣作りから始まって子スズメが巣立つまでの期間、親スズメは人間をさほど警戒することなくせっせと巣穴を出入りします。
スズメの巣は、今も昔も藁葺屋根なら前記の通りで瓦屋根なら瓦の隙間、都会のスズメはちょっとした適当な空間を見つけたらどんな処でも、例えば廃車のマフラーや壊れた換気扇など巣にしてしまうようです。
ちなみに、15年ほど前、私は5階建てのマンション(5階)に住んでいまして4月頃に絨毯を処分する(粗大ごみ)のにタイミングが悪く仕方なく5階のベランダの物干竿に巻いておいたままにしていたところ、いつの間にかスズメが10組ほど絨毯を巣にして、大勢の子スズメが巣立ったという経験があります。
東京のスズメたちは巣作りするだけでも適当な場所がなくて苦労していることがうかがえます。
巣作りが終わり桜の花が咲くころ産卵になるのですが、ものの本によると、一回につき5~6個の卵を産むということで、それも一日に一個ずつで卵の大きさは長いほうで2センチほど、短いほうは1.4センチほどで親鳥は卵を温めはじめるのは全部の卵を産み終わってからだということです。
それは、ちょうど同じ日にみんなが孵化するためのようです。母親は卵を抱いている時期だけお腹の羽が抜けて母親の体温が直接卵にかかるように工夫されているということです。
生まれたてのひなは、鶏(生まれた時から羽が生えていて,その日のうちに自分でえさが食べられるらしい)と違って、丸裸のためしっかり温めてあげないと死んでしまいます。さらに、母鳥は、エサを探しに行ったり,ひなの糞を運び出したりと大忙しです。
そして孵化して約2週間でひなもお母さんと同じくらいの大きさに成長して巣立ちます。巣立っても最初の4~5日は、母親が、エサの昆虫や、植物の種子を種子は殻をむいて口移しでそれぞれのひなにあげるのに自分の食べる時間は(?)と思えるくらい本当に大忙しです。
現在、我が家の庭のレストランに通ってくるスズメのうち何割かは以前我が家のマンションで巣立ったスズメの子孫ではないかと愛情を感じます。
さてこのようにして巣立った子スズメもいよいよ自分で食事をしなければならなくなると、世の中は思っていたほど甘くなくて、ましてやこの東京では、なかなか思い通りに食事にありつけないのでないかと心配になります。
ある研究所が、環境庁から委託されて野鳥の標識調査をしてスズメの移動範囲を確認した結果、新潟県で放鳥したスズメが最も早いものは40日間で300キロ以上離れた愛知県や岐阜県、静岡県まで飛んでいたことがわかり、しかも、100キロ以上を飛んだ若鳥(幼鳥)の数は成鳥よりも多かった(33:5)ということで、スズメも若い時は無鉄砲なのかな?と感じてしまいますが、そうではなくて、自分の生きていける場所の開拓と住み辛い環境からの逃避、そして狭い環境ではなく遠くの環境との遺伝子の交換が必要との見方があるとのことです。
都会育ちのスズメが、農山村に移住できれば食料も豊富でしょうが農家の方々にとってははた迷惑なことこの上ないこととなるのでしょうが、スズメは、田んぼや畑の野菜についた害虫をも退治してくれますので多少大目に見てやってくださいますようお願いします。
田舎育ちで小鳥好きのおじいちゃんの一言